返信に替えて昔語り

俺が仕事を辞めたのは前世紀末の初夏のこと。

会社とのトラブルとか諸々ひっくるめて少々参っていた俺は求職活動にいそしむわけでもなくぼんやりと過ごしていた。
職安には失業手当の関係もあって足を運んだ。
求職は豊富にあった。羽毛布団の訪問販売に浄水器のセールス。シロアリ駆除の仕事もあった。
だんだん職安に足を運ぶのも億劫になり、出かけると告げてはマンガ喫茶に入り浸った。
その頃は実家暮らしだったが、両親とは口論が絶えなかった。
日が昇ってから目を覚まし、部屋に引き籠もり、たまの外出はマンガ喫茶
そう言えばキン肉マンを全巻読み通したのもこの頃か。
この頃はずっとこんな生活が続くのかという焦燥感だけが燻り続けていた。夜11時*1が待ち遠しかった。あの時間からが本当の生活だと思い込んでいた。

(略)

そんなわけでひょんなことから職が見つかりビターな恋を経験し、今じゃ立派な勤め人の既婚者の俺ですが、そんな時代もありました、と言うことで。

*1:通称テレホタイム