上意下達右顧左眄

ウヨ曲折: 偉愚庵亭憮録

……これがどういうことなのかというと、政治的傾向の左右を分かつ重要な対立軸であったマルキシズムが事実上消滅してしまったわけで、とすると、もはや左翼、右翼という分類は無意味になったということだ。

ニート・ひきこもり・失業 ポータルネット: 左翼から右翼へ〜反抗思想の変遷

BUNTEN氏のように貧乏が左翼の原因という発想も一般化できないと思うのは、今現在フリーターニート問題で貧乏な若者が増えているのに、そうした層にこそむしろ右翼的言説が広がっているように感じるからだ。これは逆ではないかと。さらに戦前の昭和恐慌期以降やナチス台頭の社会状況を回顧すれば、貧乏が必ずしも左翼思想の温床になるとは限らず、右翼=排外主義的ナショナリズムの温床になる可能性も高いといえる。

2005-10-29 - 猿虎日記(さるとらにっき)

これらの文を読んでいて思うのはもはや対立軸は左右ではない、と言う当たり前の事実認識。

日本において特に若者において右傾化が進んでいるのは単純にかつての共同体が崩壊している結果ではないだろうか。冷戦後の情報技術の進歩に伴う経済のルールの大幅な変更。地域社会や、擬似家族的企業が解体され脱構築され無害化された結果、残されたのが"私"だけという現在。残されたのは"私"が"日本人"であると言う事実。故に帰属する共同体を持たない人々は国家に帰属意識を求め、自己同一化を図るのではないだろうか。セカイ系ならぬナショ系。故に、自らに不利と言われる構造改革ですら支持し、それに反対する勢力を唾棄する。また、共同体の代替物である"2ちゃんねる"や"はてな""mixi"等のコミュニティに過剰にのめり込むのかもしれない。また、山本"切込隊長"一郎氏の見方も一理あると思う。

切込隊長BLOG(ブログ) 〜俺様キングダム: 修正主義者とでも言おうか*1

今後の対立軸がどこにおかれるかというとそれはおそらく「上下」になるだろう。所得の上下、そして世代の上下。ただ、少なくとも当面は下が上を責めるよりは下が下を叩くと言う時代が続くのかな、と言う印象。

また、嫌韓反中という現象も、結局のところ不安に根ざしているのではないだろうか。かつて、デトロイトで日本車にハンマーを振り下ろしていたアメリカ人達と同様な。

もし、現在の右傾化に歯止めをかけるのなら、新しい共同体の構築が必要ではないだろうか。そしてそれは決して容易なことではないだろうな、と思う。

*1:当の切込隊長がその経歴詐称を叩かれているのは皮肉と言うしかない