日本のロボットについて語るときアトムやアニメを引き合いに出すのはもうやめにしませんか或いは俗流日本ロボット論批判

相変わらず日本のロボット開発は二足歩行のヒューマノイドばかりという誤解があるような気があるのでちょっと書きます。


家事ロボットの愚 - Tech Mom from Silicon Valley

しかしそれ以外は、やってみると意外にアウトソースしづらいのである。洗濯が次ぐらいだが、洗濯機と乾燥機があれば、単純作業は機械に入れてスイッチを入れるところのみ。一番面倒なのは、どうやって分類して洗うかの判別、洗濯機がいっぱいにならない場合にどうするかの判断、乾いた洗濯物をたたんで分類してたんすにしまうこと、といった非定型作業である。人ならば何度か教えればできるようになるけれど、ロボットにこうしたことをプログラムするのは大変そうだ。

その指摘は既にヴイストンの代表取締役大和信夫氏によってされているよね。

Future is mild : ロボットと暮らす

ロボットと暮らす 家庭用ロボット最前線 [ソフトバンク新書]
例えば、本書の中では家庭用ロボットについて単純に家事を肩代わりすればいいと言うものではないと言う事が懇々ととかれている。洗濯とは、単純に衣類の汚れを落とす事ではなく、衣類を収集し、汚れを落とした後干して乾燥させた後所定の位置に戻すまでの一連の作業<を指す、と言う主婦の指摘には目からうろこが落ちた。


あと気になった部分。

私は本格的に介護をしたことはまだないが、赤ん坊を育てたときのアナロジーで言えば、これまた判断業務の塊である。実際に介護する人を抱き上げたりする力仕事は、全体の作業の中でわずかな部分に過ぎないのではないだろうかと思う。

介護+腰痛で検索して貰いたい。腰痛が介護労働者の問題であると言うことが理解できるかと思います。

むしろ、私の感覚では、「パトレイバー」に出て来るような、工事現場の巨大ロボットを、作業士が「運転免許」を取って動かす、といった世界のほうが余程ありえそうな気がする。

アメリカでは知られていないと思いますが、こんなロボットの開発が進んでいます。

大昌建設株式会社:技術紹介 コメントを見る

ロボットにもグーグル的な割り切りを - 雑種路線でいこう

では何故、政府がサービスロボットと称してロボットそのものの研究を推進したのか。きっと万博で展示したかったのかな。目的のはっきりしない研究開発の企画って、研究者にとってもつらいものである。米国は市街戦での死者を減らすとか目的がはっきりしている分、状況はだいぶ異なるようだ。日本でも次の万博が近づくまでは、もうちょっと実用化の容易そうな研究へのシフトが進むのだろう。

経産省の今年のロボット大賞に選ばれたロボットはビル清掃ロボット「RFS1」。特別賞はセコムの食事支援ロボット「マイスプーン」。目的がはっきりして、実用化の容易そうな分野だと思いますが。HALの量産も近いですし。

また、こういった取り組みも行われています。

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どうにも日本のロボット研究というと、ASIMOやHRP-3等のイメージが強くて、みんながみんなアトムを作ろうとしているかのような誤解が根強い。実際にはまだまだ基礎研究・要素技術の開発が中心でヒューマノイドなどほんの一部に過ぎません。

また、研究室で浮世離れした研究に没頭しているわけでもなく、実際に介護の現場や医療・救助の担当者と協業していることも。

とここまで書いてふと疑問に思ったのだけど、id:michikaifu氏とid:mkusunok氏はいったいどれほどのロボットをご存じなのだろうか?
日本のロボットについて語るのなら、最低100体のロボットを知ってて貰いたいもの←釣り。

ロボットの研究者は現代のからくり師か?

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